「リオンはなんでそんなにフィンさんを嫌うのさ?面白い人じゃん」
「馴れ馴れしい・年上面する・いちいちうるさい・存在自体がそもそも不愉快・目が疲れる・何様だ・弟子になった覚えは無い・発言が苛立たしい」
フィンに対する不満を言いきるとリオンは書斎へと閉じこもり、滅多に閉めないドアを外れるんじゃないかと言うほど力強く締めた。
鍵はつけていないはずのドアから何重もの鍵の掛かる音が響く。
多分魔法か何かで取り付けたのだろう。無駄な魔術の消費である。
そこへ様子を見に来たフィンがそのリオンの果てしない拒絶を愉快そうに笑って眺めていた。
ニコニコではない、ニヤニヤと。
「アイツいじめると面白いよなー」
「フィンさんはなんでいきなりリオンの前から消えたんですか?」
「んー…?一人前になった我が子を社会に送り出すのが親の役目だから?まさかリオンが寂しがるとは思ってなかったけど」
直後、何処からとも無く飛んできた眩い光線は、フィンの顔面を何の迷いも無く貫こうとしたが、寸での所でフィンが避けたお陰で、キッチンを通り過ぎ、店のドアにぶち当たり、騒音とともに、また穴が一つ開いた。
『誰が子どもだ、誰が親だ、誰が寂しがったなんて言った』と、いう無言の攻撃は、当たればいつかの珈琲豆のように消し飛ぶのは目に見えてわかる。
何だかんだでいいコンビだと思うけど…、とチェスは心の中で呟きながら、新しく出来た店の穴を眺める。


