何がそんなに嫌いなのだろうかと、この1日2日で慣れてきたチェスは慌てることなく時間ピッタリまで葉を蒸らし、色と味を溶かし出してから、暖めたポットの中に紅茶を注ぎ、トレイにカップとポットを置いてリオンの指定席まで持っていく。
しかしリオンは本を乱暴に閉じると、立ち上がって言い切った。
「チェス、今すぐだ。今すぐに出て行くぞ」
「えぇ!?」
「何だお前達、また移動するのか?何処に行くんだ?」
「お前には関係ない、出て行け」
容赦の無いリオンの一言に、フィンは明らかに不満げな顔で唇を尖らせる。
「リオンって本当に器の小さい男だなー、俺が突然居なくなったこと、まだ怒ってんのか?」
「え、リオンがフィンさんの事嫌いな理由ってそれだけ!?」
「違う」
紅茶を口にしないまま、リオンは収まらない苛立ちを隠し立てることも無くフィンに向けている。
対するフィンは慣れているのだろう、そ知らぬ顔でリオンを苛めている。…というよりおちょくっている。
「はいはい、そういうコトにしといてやるよ。あ、チェス君、俺珈琲ね」
「あ、はい」
いいながらチェスは紅茶を置いて、珈琲を作るべくキッチンに戻る。
その後ろをすぐに不愉快をわかりやすく再現した、喧しい足音を響かせながらリオンがキッチンを通り越して書斎へと引きこもる。


