「…チェス、ダージリン」
「え、うん」
促されるままに、靴を脱いでキッチンへと向かう。
靴を揃えず部屋に上がるのはチェスの悪いくせだ。
そんな脱ぎ散らかされた靴を眺めながら、リオンは溜息をついて靴を揃え、一つ呟く。
「…お前のこの癖を直すのが早いか洋館に住むか、どっちが早いんだろうな」
「…へ?」
「この店は閉める。次はどこか静かな場所で人間の生き様を観察するぞ。この町はうるさくて仕方が無い……それにフィンがこの国にいるならすぐにでも………」
カラン、
コロン。
「おいリオン!師匠に挨拶も無しに帰るとは礼儀のなってないヤツだな!」
沈黙。
キッチンへと入っていたチェスは現場におらずとも、リオンの機嫌が一気に急降下したことが感じ取れる。
ありありとわかる、室内の気温の変化。


