帰り道。
クリスやフィンに別れを告げることもなくさっさと帰ってきてしまったリオンを追って付いてきたチェスは、複雑なような、そんなもやもやとした気持ちを抱えながらリオンの少し後ろを付いて歩いていた。
使い魔二匹は先に店に帰っているので話し相手はリオンしかおらず、しかし何を話せば良いやらわからず沈黙が続いている。
なんだか沢山の事実が綯い交ぜになって、チェスの頭は少し混乱している。
混乱している脳が、一つだけ認識する、事実と疑問。
あの店がなくなったら、どうなるんだろう。
そんなことを悶々と考えていると、見慣れた店が姿を現す。
こげ茶色のドアに、透明のガラスのはめ込まれた、看板の無い、その店。
リオンは手を伸ばし、唯一掛かっている『CLOSE』の札を変えずに、ノブを掴むと中へと入る。
カラン、
コロン。
聞き慣れたこの音が、なんだか物悲しい。
店内に入ったと同時に、リオンはいつもの指定席へ腰を下ろし、眼鏡を掛け、本を開いた。
チェスは何をするでもなく、そんなリオンの様子を眺めている。


