ワケアリ(オカルトファンタジー)




ゾッとするほど音の無いその空間は、現実と非現実が、世界と異世界が合わさって、なんとも薄気味悪い雰囲気を漂わせる。


非現実的な世界よりも、現実的世界の中に潜む違和感を感じる方が、人間は恐ろしさを感じるのだ。


背筋に何か、形の見えない、それでも存在している《何か》が張り付いたような、そんな気配がどんよりと覆う。



神社であり、神社ではない、普通の人間は辿り着けない空間。



神様は来客がきた事に気付くと、屋根から軽々と下りてきた。


人間ならば足を骨折してしまうだろう高さからの優雅な着地に見惚れる暇はなく、リオンは口を開く。



「使い魔を返せ」



「理由を聞かなきゃ、あたしはずっと使い魔を盗み続けるよ?」



リオンは不愉快そうに、フィンも少し眉を寄せながら神と対峙している。


二人の後ろで事の成り行きを見守っているチェスは、『神』というものの固定概念の崩壊を感じていた。


神は、赤かった。


リオンが黒で、フィンが白なら、神は赤だった。まるで返り血にでも浴びたかのように。


真っ赤なフリル付のドレスに、真っ赤なマント、真っ赤なヒール。髪も赤く、サイドは耳が隠れるほど位しかなく短めだが、後ろは随分と長かった。


アクセサリー類は身につけていなかったが、真っ赤なマニキュアとルージュが印象的である。


そして、20代ほどの女だった。