ワケアリ(オカルトファンタジー)






「とりあえずフィンさんの使い魔がいなくなったのは隣町なんですね」



「そう。前までアメリカに居たんだけどさぁ、リオンが日本に来てるって知って、遊びに来た途中で、ってわけ。…あ、リオンが嫌で逃げたのかな」



それは十分ありそうだ、と心の中で呟きながら、チェスは踏み台として使っている使っている台に座って、ノートに今の現状を書きとめている。


もちろんチェスが帰宅してすぐにこうやって話せたわけじゃない。


チェスが帰って来たときの有様は今はもうリオンの魔術のお陰で姿形もないが、つい数十分ほど前、この店は荒れていた。


《荒れていた》というそのただ一言で、人々はどれ程の状態を想像するだろうか。


この一言の中には、椅子が壁に突き刺さっていたり、硝子と言う硝子が砂と見まごう程に砕けていたり、柱が上下二本に分かれていたりしている、まるで台風が部屋の中で発生したような状態が含まれている。


勿論足の踏み場も、オレンジ色に照らしていた電球も、存在するはずが無い。


そのくせ二人は無傷で、服さえも汚れていない。


相手の攻撃を交わしては攻撃し、それを交わされ、自分の放った攻撃が店を潰していく。


そんなくり返しが、チェスが帰ってきて、流石に言葉を失い、怒鳴り声を上げるまで続けられていた。