だがしかし、リオンがここまで不機嫌になる、もとい感情的になる人間(死神)も珍しい。


チェスでさえ、会話中にリオンを不機嫌にさせることはあるが、至って普通の関係だ。ここまで感情を露にされたことは殆どない。



「でもリオンの初めてのお友達かぁ…」



「友達ではない」



「…見たいなぁー!物凄く物好きなんだろうね」



屈託なく返された声に、リオンは無言のままチェスを見下ろす。


チェスはその無意識の言葉に数々の誤解が含まれている事に気付くとバッと顔を逸らして他の話題へ移ろうと思考をめぐらせる。



「あ、そういえば今日はなんか拾ってきたの?」



「……何も。魂を一つ取ってきたが…使えない魂だ」



「ふぅん……最近結構商品も売れてたから、暫くは美味しそうな魂も使えそうな雑貨も入ってこないかもね」



これだけあれば当分要らないけど、と少し薄暗い店内を見渡して、そこに置かれている単純に言えばいわく付きの調度品たちを眺めてチェスは呟いた。