リオンが人間だった頃、名前はキリルと言った。
キリルは幼少の頃から聡明だった。
今で言う幼稚園に通っている時点で小学三年生の頭脳を持ち、小学三年生になる頃には中学生の勉強を難なく理解した。
大人にとってそれほど喜ばしい才能は無く、両親はキリルに次から次へと色んな知識を与えて、沢山の芸事を身につけさせた。
外国語も、理数系も文学も、芸術方面、例えば楽器演奏や美術なども。
キリルも大してそれらの勉強が嫌いだったわけでもなかったので次から次へと知識を吸収した。
しかしそれに比例するように友人は誰一人として作らなかったし、作れなかった。
両親が、『低能な子供と遊んで、低能がうつっては困る』と言ったのである。
しかし友人がいない事も特にキリルの苦しみとはならなかった。
友人のいないキリルは学校に行けば苛められたが、学校に行かずとも家庭教師が勉強を教えてくれる。わざわざ学校に通ってまで、随分と前にした勉強を復習することはない。
そういった理由で、学校にさえ行かなくなった。
そこで、キリルは人に対する思いやりや、対人関係を通して培われていく能力が全て発育されないままに育つ事になる。
そしてその恐ろしいまでの聡明さと対人関係の欠如したキリルは、沢山の人々の注目の的となった。
アイツは人間じゃない、と。


