腕にいくつもの穴を、身体にいくつもの穴を、頭にいくつもの穴をつけ、何処に当てれば何点だ、だとか、たまにテンションの高い実況中継をしながら、エルヴィスは始めてする本物の銃での射撃を楽しんだ。
射撃なんて、射的場で数えるほどしかした事がない。
しかもその時は猟銃だったので拳銃とはワケが違う。
今まで吸った事の無い甘いスリルの味。
本物の方が、より、本物を装うことが出来る。
暫く楽しんで、しかし、手の平が段々と痛くなってきて、エルヴィスはゴトン、と拳銃を放り投げた。
そして、扉から隣のキッチンへと向かうと蛇口を捻り、水を出す。
綺麗で清潔なその水に手をつけて、石鹸を手の平に受けると、泡立てて、痛みと赤く染まった両手の汚れを落とす。
指紋の奥深くに付いた血液はうまく洗いとることができず、所々で不自然な赤みを残した。
手を洗い終わって、エルヴィスは庭へと続く窓を開ける。
澄んだ新鮮な空気が噎せ返る血液の生臭い匂いと死臭の間を漂い、引っ張り出すように室内に篭ったその匂いを掻き出して行く。
もう暗くなりつつある外を、風が独りでに働いている事も然して興味を示さずに眺め、隠れていく太陽をぼんやりと見送っていると、家の門のところに黒尽くめの男が立っている事に気付いた。
薄暗くなった風景に溶け込んだように、一人ぽつんと。
いつからいたのかさえわからない。
「…お兄さん、誰」


