「本当に大切なもの…」
そう言って、エルヴィスは『小さく動いていたそれ』を宝箱へと閉じ込めた。
暫く呆然と、閉まった宝箱を眺めていたが、自分の手が汚れている事に気付くと宝箱を片手に立ち上がってキッチンへと向かう。
帰って来たときは慌しく上り下りしていたこの階段が急に違う物になったかのように、静かに、静かに下りた。
戻ってみて気付いたが、リビングから流れてくる血液の生臭さがキッチンにも立ち込めていて、むせ返るほどだった。
リビングに戻ると、三つの死体。
その一つ、自分の肌の色とは違う悪者をその小さな身体で上半身を抱き上げると、ズルズルとソファへ引っ張って行き、そこへ座らせた。
「さぁ、ここは悪者が住み着く家です。優しい顔をしたその悪魔はあろうことか、何の罪もない人々を手に掛けて行きました!ですが安心してください、ヒーローの到着です。さぁ、ヒーローエルヴィス!仇をとって!」
パァンッ――!
その破裂音は室内に響き渡り、エルヴィスはまた反動で空気に押された様に後ろへ数歩、後ずさる。
ビクンとソファへ座らされていた、エルヴィスとは肌の色が違うラシェルは身体を大きく跳ねさせ、重心のズレによってズルズルとソファに横になる形を取る。
「まだ許さないぞ!」
パァン、…パァン……パァン、パァン……!
立て続けに打つことは出来ないが、それでも早く、連射して、ラシェルの身体からはドプドプと赤黒い液体が微かな勢いとともに噴き出す。
肩に、胸に、腹に、首に撃ち込まれたその弾は、ラシェルの身体を貫通し、ソファさえも傷つけてゆく。
ソファからは赤黒い液体は出ずに綿だけがその顔を覗かせていた。
肩で呼吸しながら、何度も撃ち込んだ。
まるで射的場のように。


