バンッ!
『ろっぷんにじゅうご、ろっぷんにじゅうろく…』
その人形へ、私は真っ直ぐに鉈を振り下ろした。人形は、恐ろしいほどの速さで身体を起こし、攻撃を避けた。
その陶器で出来た顔が、何処か笑っているように見える。本当は一ミリも動いていないはずなのに。
『ろっぷんにじゅうなな、ろっぷんにじゅうはち』
人形は私の攻撃など何もなかったかのように変わらないテンポで時間をカウントし続ける。
「鬼ごっこなんてしないわよ!」
『…するって、言ったじゃない』
時間をカウントしていたその口が、違う言葉を話した。
どこか幼げなその声に、子供が駄々を捏ねたような雰囲気を抱いて、私はゾッとした。
人形のくせに恐ろしいほどに人間に似ている。
似ているくせに、不完全で、それが気味悪さを倍増させる。


