同時刻。
店。
「あれ、指輪が無い。落ちたのかな……」
いつものように暇潰しに商品のチェックをしていたチェスは言いながら、床に顔を近づけて棚の下を覗き込むが、そこは小さな暗闇があるだけで、何もない。
チェスはこの店に置かれている商品を全て暗記している。
いつこの店に入ってきた品物か、誰が買っていったかなど、些細なことを事細かに覚えているし、一度見たものはそれの類似品があっても見抜くことが出来る。
それは彼の天性の才能。
「あれ?ないなぁ…リオン知らない?」
そんな困った声のチェスに対してリオンはあくまで平然として、答える。
「盗まれた」


