「ここしか入らないのはなぁ…」
言いながら、左手の薬指に嵌ったその指輪を抜こうとした、その時。
ギリギリ、と締められた様な、痛みが指の付け根に走り、第一関節まででさえ、指輪を動かすことが出来なくなったのだ。
「えっ…!?」
焦って、茜は右手の人差し指と親指で何とか抜こうとするが、それでもビクともせずに、左手の付け根は無理やり抜こうとした所為で、赤くなっていく。
入れる時はすんなり入ったのに…!
どうしよう、と辺りを見渡す。
値札を探した。
指輪自体についていないならどこかに「ALL ○○」という形で料金が書かれているだろうと。
しかし店内の何処にもそんな表記はなく、茜は焦る気持ちのまま、指ごと抜けてしまうのではないかと思うほど強く引っ張った。
それでも、指の付け根が赤くなるだけで、指輪は第一関節にさえ届く気配はなかった。
そこで、茜は棚の隙間からこっそりと、店の従業員を見る。


