月夜に照らされたコンクリートを黒に近い赤色がドロドロと流れ伝っていく。馬乗りになったスカートの先を、赤色が這い回ってくる。
鋏の口を大きく開いて、私は、もう空気の一つでさえも通すことのなくなったその首に当てると力一杯その口を閉じた。
ジャ、ク……
閉じた鋏の口。
開いた、その人間の口の下、咽喉の部分に出来たもう一つの、口。
そこからは小さな管が口を開けているのが少しだけ見える。
私は無感動に、その様子を眺めて、逃げた。
どこからか悲鳴が聞こえて、暫くすると遠くの方からサイレンが聞こえたが、家まで、私は誰にも出会わずに戻ることが出来た。
気付けば服が血だらけになっている。
体が、厭に重たい。
まるで、戦場の中で戦い終わった、騎士のように。


