ドキドキしたなんて本人にバレてはいけない。
だって誉君はこんな過激な揶揄いも簡単にできちゃうくらい、私のこと意識してないんだもん。
「うっまー。ごちそうさん」
「誉君……普通に食べれないの?」
「りっちゃんが突然『彼女ほしくないの?』とか言うからじゃん。
なに、俺に彼女でもつくってほしいわけ?」
「あっ、そういう訳ではなくて……」
「まあこの際ハッキリしとこうか。俺りっちゃんのことーー……」
いつもからかう誉君が珍しく真剣な表情をするから、ドキッと胸の奥が騒ぎ始める。
すると。
「誉、いい加減戻ってこいよ。いつまで妹の部屋いんだよ。」
またノックなしに私の部屋に入ってきたのは、顔に黒い影を落とした葉お兄ちゃんだった。
お兄ちゃんは、私の肩に頭を乗せダラダラと脱力仕切った体で座っている誉君の首根っこを掴む。
「いやー、なにする気よ〜」
「変な声だすな。つか、トイレって嘘ついて妹の部屋行くなって毎回言ってんだろ!ゲーム、お前がいないせいで始まらないのに。」
「俺のことは放っておいてくれる?りっちゃんと遊ぶので忙しいのに。
つか良いとこで来るなよ、お前俺の親友何年やってんだよ。」
「なんの話してんのかまったく分かんねーけど、お前があのゲームしたいって言って人集めたんだろーが」
「そんなもんは忘れた」
「忘れんな!」


