私をそっちのけで瞬く間にお兄ちゃんは誉君の首根っこを掴んだまま引きづり、部屋から出ていく。
「りっちゃんお邪魔しましたー」と、部屋から姿を消した誉くんの声が隣の部屋から聞こえてきて、思わず笑いそうになる。
誉君が何を言おうとしたか気になるけど、戻ってこないって事は大した事じゃなかったのかも。
「誉〜、また立夏ちゃんのとこ行ってたのかよ。好きだねーお前も」
「友達の妹に手出すなよ〜、別れた後地獄みたいな空気になんぞ。気まずくて」
「お前らうっせーの。どうでもいいけどさっさとゲーム始めろよ」
「「お前が言うなよ」」
友達と誉君の会話が嫌でも聞こえてくるこの薄い壁の向こうが少しだけ羨ましいなと、本棚から手に取った読みかけの少女漫画を読みながら思う。
ちょうど告白するシーンが目に入ってきて、私もいつか誉君と恋人になれたらなって。
そんな事妄想してみたり。


