あの日、先生から貰ったアドバイスは……。
『心臓に負担をかけない恋人との過ごし方』だった。
好きだから、一緒にいたい。
一緒にいたいから、相手のこともちゃんと考える。
ずっと聞けなかったことが聞けただけで、心の中の靄が晴れた気がした。
「なぁ」
「ん?」
「ちゅーしちゃダメ?」
「ダメ」
「ちゅっもダメ?」
「ダメ」
口癖のように、甘える時に聞いてくる。
「向かいのホームに男の子がいるじゃん」
「……じゃあ、これで」
くるりと体を回転させた匠刀は、電車待ちの男の子の視線を遮るように前に立ちはだかった。
もう、……仕方ないなぁ。
「ん」
身長180㎝を超えてる匠刀が前に立つだけで、視界が遮られる。
それをいいことに、匠刀は私にキスをした。
「……ん~んっ……っ……ッハァっ、長いよっ」
「いいじゃん、別に」
にやりと口角を上げた彼は、満足そうに片手で私を抱きしめる。
『ドキドキを軽減したらいいだけ』
盲点というか、灯台下暗しというか。
今まで注意と回避しか策を講じて来なかったけれど。
ドキドキすることも、きゅんきゅんすることも、日常化したらいいというアドバイスだった。
だから匠刀とは、いつでもいちゃいちゃしてラブラブしていたら、ドキドキも薄らいで心臓に負担をかけなくなるという理論。
いきなりホラー映画を観るとか、ジェットコースターに乗るとかはできないけれど。
手を繋いで、ちゅーをして、ぎゅ~っもしてたら、その先にちゃんと未来を繋ぐことができるはずだと。
だから、母親の許可を得て、デートすることにしたのだ。



