「反則技も幾つかあるけど、ペナルティー行為は2つの区分に別れてて、どちから4回注意を貰うと失格になるの」
「じゃあ、あと2回注意されたら、匠刀の勝ち?」
「う~ん、たぶんその前に試合終わると思うけど」
そうか、制限時間もあるもんね。
空手って、奥が深い。
ちょっと観たくらいじゃ、やっぱり全然分からないよ。
残り時間30秒を切った。
「よしっ。場外に出るのもペナルティーなの」
「……あぁ、なるほど」
匠刀が相手をじりじりと場外へ押し出したからだ。
1秒、1秒と減っていく時間。
あと少しだよ。
残り時間12秒を刻んだ、その時。
「っぁああああーいっ!」
「っぅぉあああああーい!」
2人の気合の声が道場内に響き渡ったと同時に、上段蹴りを繰り出した匠刀がその場に倒れた。
相手も同じように上段蹴りを繰り出してて、相手選手の蹴りが匠刀の下顎に命中した。
「っっっぅ……んっ…」
「大丈夫かなぁ、脳震盪かも……って、モモちゃんっ!!」
目の前で匠刀が倒れる瞬間を見てしまったせいで、桃子の心臓が悲鳴を上げた。
「モモちゃん、大丈夫だからね。ゆっくり鼻で呼吸して…」
「……っん~~ッハァ…」
事前に匠刀から話して貰っておいたおかげかな。
いつも匠刀がしてくれるみたいに、ゆっくりと背中を撫でてくれている。
視界にはまだ倒れたままの匠刀。
監督やコーチの他、虎太くんも駆け寄って何か話してる。
苦しくて、痛くて、心臓が破れそうな感じだ。
全身に廻った血液が右心室から肺へと送り出されるのだが、右心不全気味の桃子はそこに難があって、心臓に血液が溜まってしまう。
そうなると、血液が循環できず、全身に血液が溜まってしまう症状に陥るのだ。



