午後5時を過ぎた頃から降り出した雨。
集中豪雨ほどではないが、結構な雨量だ。
「おい、傘持って来た?」
「持って来てねーよ」
「俺も」
「どうする?」
「止みそうにないから、駅まで走るか?」
「……そうだな」
予定の最終講義も終わり、帰り支度をしていると。
他の受講生たちが会話する。
窓の外を眺めると、時折遠くの空がピカッと光ったりして。
その度に、桃子はビクッと肩を震わせていた。
塾の正面玄関には、親の迎えを待つ子たちで溢れている。
桃子の両親は鍼灸院があるため、急な体調不良でなければ迎えには来ない。
それは、桃子がお願いしたことでもある。
あ、お昼の時の子だ。
身長175㎝ほどで、すらりとした容姿。
顔もなかなかで、結構モテそうな雰囲気。
もう1人の受講生と話している。
彼も傘がなくて、帰る方法を考えているのだろう。
駅まではゆっくり歩いて7分ほど。
健康な男子が走って向かえば、大してかからない距離。
途中のコンビニで傘が買えればいいが、たぶんもう売り切れていて買えないだろう。
だとすると、走るか、雨が小降りになるのを待つか。
『終わった?』
手にしているスマホが震え、画面を見ると、匠刀から連絡が来た。
『終わったよ』
『もうちょいで着くから、塾の中で待ってろ』
部活はどうしたのだろう?
夕立で早めに終わったのかな?
『わかった、中で待ってる』
雷の音が苦手な私を心配して、仮病を使って抜け出したりしてないかな?
そんなことを考えていた、その時。
「結構雨降ってるよ」
「……あ」
N校の小川くんが声をかけて来た。



