「……今なら、分かるよ」
「あ?」
「恋する、気持ち」
恋だと思ってたこの4年間も、たぶんずっと匠刀の影に恋してた。
虎太くんが好きだったんじゃなくて、ジェントルマンの影にずっと恋をしていたんだ。
それを、虎太くんと勘違いしていただけで。
可愛いと思って貰いたくて、頑張って髪を伸ばしたり。
彼の前で具合が悪くならないように、日々ストレッチしたりして筋力アップを図ったりもした。
それが、匠刀が言うみたいに相手へとベクトルが分かるように表に出てなかっただけで。
私の中ではちゃんと恋してたんだと思う。
「私が好き?」
「は?……何、いきなり」
「好きか、好きじゃないか、教えてよ」
「……お前、すげぇ狡賢いな」
自分から言う勇気がなくて。
だけど、匠刀とのこの関係をはっきりさせたい。
私は狡賢くて、利己的かも。
16歳の誕生日というのもある。
彼の優しさにつけ込んで、聞きたい答えを引き出してる。
「幼馴染ってだけで、こんなに尽くせるかよっ」
いつも飄々としている匠刀が、今日はやけに可愛らしい。
今日何度目か分からない照れ顔をしながら、ぎゅっと手を握り返して来た。
「じゃあ、なんでこの間キスした時に、『ごめん』って言ったの?」
「はぁ?」
「ねぇ、なんで?」
「……んなの、決まってんじゃん」
一瞬交わった視線が再び逸らされ、気まずそうな表情に変わった。
「好きでもない男からキスされて、嬉しいやついんのかよっ」
あぁ、そういうことか。
したいからしてしまったけれど、冷静になって肝を冷やしたってわけか。
「匠刀」
「……んだよ」
「こっち見てってば」
「あ゛?……んっっ」



