9時に心エコー検査が始まり、正午を挟んで既に14時半過ぎ。
さすがにお腹が空いた。

「次がラストね」

検査の予約時間は決まっているけれど、実際はあってないようなもの。
お昼ご飯を食べずに大学病院内を行ったり来たり。
端から順にはしご検査みたいにしてくれたらいいのに。
毎回このシステムがよく分からない。

空腹MAXの状態で、呼吸機能検査がラストだ。
検査前でフラフラなのに、ちゃんとした数値が出るのか不安だ。

「診察の後に尿検査があるか分からないから、今のうちにお水飲んでおきなさい」
「……ん」

心臓のポンプ機能の低下により血液の循環が悪いと、血液中の水分や塩分が体の外に排出されにくくなる。
それを防ぐために利尿剤を服用している。

こういう検査って、一生しないとならないのかな。
聞きたくても一度も聞いたことがない。
怖くて聞けないというのもあるけれど。

皮膚や骨は再生するけれど、心臓が画期的に回復するだなんて聞いたことがない。
だから、一度破壊されてしまった心筋の細胞が、元通りに戻るとも思えない。

スポーツ全般ドクターストップというわけではない。
少しずつ筋力アップを図り、体力をつけるのも大事なこと。

家の周りを散歩したり、ヨガや軽い筋トレみたいなことは日々頑張っている。
そのお陰もあってか。
前回の呼吸機能検査よりは数値がよかった。

3カ月ぶりに会う主治医の財前 彩葉先生。
東京白星会医科大学病院の胸部外科では唯一の女医さん。

胸はぺたんこだけど、一応これでも女の子だから。
女性の先生ってだけで、安心感が違う。