『オーバーキル』これ以上、甘やかさないで


なんで繋がんねーんだよ。
会えなくても声くらい聞かせろっつーの。

桃子は毎日会わなくても、平気なんだろうけど。
俺は気が狂いそうだってのに。

クリスマスデートのあの別れから、メールも電話も音信不通で。
桃子だけでなく、桃子の両親とも連絡がつかない。

父親や兄貴のスマホから電話やメールを入れてみるものの、全く同じ状況。
こんなこと、今まで一度だって無かったのに。

「もしもし?」
「桃子と連絡つかねーんだけど」
「それ、2時間前にも同じこと聞いた」

いてもたってもいられなくて、親友の晃司に電話した。

「なぁ」
「……ん?」
「どうやったら桃子の声聞けんの?」
「知らねーよ」
「どこに行ったら会えんの?」
「んなこと、俺に聞くな」

晃司に八つ当たりしてもどうにもならないのは分かってるけど。
それでも、どうしようもなく不安で。

もしかして、心臓の具合が悪くなって、入院してんじゃないかと思えてならない。

心臓だから。
電波機器が心臓に負担をかけるから。

だから、電話もメールもできないんじゃないかと思えて。
『バイバイ、匠刀』と言った桃子の声が、いつになく弱々しく思えて。

頑張って伸ばした髪を切る決断をしたのだって。
長期入院することが分かってたから、事前に切ることにしたんじゃないかと。

いつもなら、デートだって余裕のあるプランにするのに。
あの日は、目いっぱい、……ありえないくらいぎゅう詰めだった。

何で気付かなかったんだろう。
どうして気づけなかったんだろう。

いつもはどんな小さなことだって見逃さない自信があったのに。
今さら後悔したって遅いのかもしれないが、どうしても納得いかなくて。