・・・悩みがあります。聞いて。

「数学が解けない・・・」

この学校、ハードル高すぎません?

解き方も教えてくれないし、最初から応用の応用をだしてくるんだよ!!

こんな問題、解けないって!

男子の一部は苦戦しているみたいだったけど、女子は表情一つ動かさないで授業を聞いてる。

問題用紙を見て唸る。

試行錯誤したけど、結果、無理。

無理無理。

殿下のことは、今のところ大丈夫そう。

3日間、挨拶もしてない。

同じクラスなのに。

ただ、問題は学力なのだ・・・

家には帰りたくないし、問題は解けないし。

がらん、とした教室。

先生がいるわけもなく。

「はあ」

ため息をついた。

思い切り、うつぷせる。

「・・・ティアラ嬢」

突然話しかけられてびくりとする。

この声は、殿下だ。

・・・寝たふり大作戦。

ゆさぶられたら、殿下に起こされるなんて感激ですっ!とでも言っておくか。

「解き方を教えようか?」

まさかそう言われるとはわからなくて、反射的に顔を上げる。

「!」

ガバッ、と起きた私を見て殿下は目を丸くする。

・・・その目は、さすがに傷つく。

目が物語っていますよー。

陰口より、傷つきます。

そんでもって、めっちゃはずいです・・・。

思わず殿下を見上げていた視線を横にそらす。

う、わあ、気まずい気まずい・・・。

殿下、固まってないで何か言ってください。

お願いします。

沈黙敗れるようなネタないし、アピれる気もしなくなってきた・・・。

「・・・隣いいかな」

「あ、はい」

今更ド緊張。

「問題、解けないの?」

口を開けず、こくこくとうなずく。

これはまずい。

なにかアピらないと・・・。

「これはね、」

そう言って一つ一つ丁寧に教えてくれたんで、さすがにアピる気もなくなる。

私は納得して、解けなかった問題をすらすらと解く。

「殿下、」

すごい!ありがとうございます!という言葉をなんとか抑える。

「何?」

するどい目で問われて、一生懸命言った。

「でん・・・ウィーク様にに教えてもらうなんて光栄です。ありがとうございましたっ」

甘える声が出せたかは微妙。

私は問題をバッグに入れて、帰りたくなかった家に、ダッシュで帰った。