自殺教室

「本当だよ。ドッキリでもなんでもない」


豊が言う通り、周囲に誰かが潜んでいるような気配はなかった。
そこでようやく豊の告白が本物なのだと理解した。
理解した瞬間心臓がドクドクと早鐘を打ち始めて、喉がカラカラに乾いてくる。


「なんで、私なの?」


自分が男なら、きっと隣りにいた奈穂に声をかける。
奈穂はクラスで1番と言えるくらいの美人だ。

自分ではその自覚がないようでだけれど、クラスの男子の半分くらいが奈穂に憧れていることを知っている。


「なんでって……なんか、すごく可愛いと思ったから」


また可愛いと言われて、珠美の頬が赤く染まる。
異性にここまで外見を褒められるなんて、きっとこれから先もないことだと感じた。

戸惑いの後に嬉しさがこみ上げてくる。
昔から自分に自信がなかったけれど、こんな自分を好きになってくれる人もいるんだとわかった。


「だから、付き合ってほしくて」


豊の言葉は珠美にとっては夢の中のようなものだった。