「俺も同じだ」


隣で一浩が同意を示す。
どうやらそれも全員一致しているみたいだ。

奈穂は昨日の夜のことを思い出していた。
昨日は夜10時には自分の部屋に戻って、明日の学校の準備をした。

そのままベッドにもぐって眠りについたんだ。
もちろん、制服に着替えた記憶も、学校へやってきた記憶もなかった。


「集団催眠かもしれないな」


ふと気がついたように言ったのは豊だった。


「集団催眠?」


奈穂が聞き返す。


「そう、前にテレビで見たことがある。同じ場所にいた全員がありえない化け物を見たって話。だけどその化け物を見る前にそこにいる全員は同じ怪獣映画を見ていたんだって。それが原因でみんなが同じ幻覚を見て同じように逃げ出したらしい」

「もしそうだとしても、俺達にそんな共通点はないだろ」


一浩が腕を組んで仁王立ちしている。