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一週間後、千秋は松葉杖をついて学校の階段を上がっていた。
よこには奈穂と珠美がついている。


「少しずつでいいからね」

「ゆっくりね」


声をかけられるたびに千秋は「うん、うん」と返事をする。
ようやく教室にたどり着くと珠美がドアを開けてくれた。


「ありがとう」

「ううん」


千秋に謝罪した日を堺に4人は毎日お見舞いへ行くようになった。
そこではできるだけ明るい話題をして、学校内での笑い話を聞かせた。

そうすることで少しでも学校へのハードルが低くなればと思ったのだ。
これくらいしか、自分たちにできることはないから。

Bその組の教室へ千秋が入って来た瞬間、すでに登校してきた生徒たちが静かになった。
みんなの視線が千秋へ向かうが、その中の数人は気まずそうに視線をそらした。