それはカッカッという、聞き慣れた音だった。
確かに聞き慣れている。
だけどそれがなんの音だったのか、思い出すまでに少し時間が必要だった。
そして音の正体を思い出すと同時に奈穂は顔を上げてみた。
みると豊と珠美のふたりが棒立ちになって青ざめている。
その顔は同じ方向を向いていた。
奈穂も自然と同じ方向を向き……そこで音の正体を知った。
それは先生が黒板にチョークで文字を書いているときの音と同じものだったのだ。
そして今、チョークがひとりでに浮いて黒板に文字を刻んでいっている。
「ひっ!」
奈穂が小さく悲鳴を上げて一浩も目を開けた。
そして黒板にその視線が釘付けになる。
誰もなにも言えなかった。
ただ黒板に勝手にかかれていく文字から目を離すことができなかった。
天野千秋。
黒板にそう書き記した後、チョークは突然力を失ったようにその場に落ちて折れてしまった。
その名前が刻まれてもまだ誰もなにも言わなかった。
確かに聞き慣れている。
だけどそれがなんの音だったのか、思い出すまでに少し時間が必要だった。
そして音の正体を思い出すと同時に奈穂は顔を上げてみた。
みると豊と珠美のふたりが棒立ちになって青ざめている。
その顔は同じ方向を向いていた。
奈穂も自然と同じ方向を向き……そこで音の正体を知った。
それは先生が黒板にチョークで文字を書いているときの音と同じものだったのだ。
そして今、チョークがひとりでに浮いて黒板に文字を刻んでいっている。
「ひっ!」
奈穂が小さく悲鳴を上げて一浩も目を開けた。
そして黒板にその視線が釘付けになる。
誰もなにも言えなかった。
ただ黒板に勝手にかかれていく文字から目を離すことができなかった。
天野千秋。
黒板にそう書き記した後、チョークは突然力を失ったようにその場に落ちて折れてしまった。
その名前が刻まれてもまだ誰もなにも言わなかった。



