彼女がこんな態度だと言うことは……多分。

「え? 待って……クロエ。それは、どう言うこと?」

「ねえ。レイラ。この、乙女ゲームの案内役……サポートキャラの黒うさぎのトリスタンを覚えてる?」

「ええ。もちろんよ……好感度を見るのも、迷った時にどうすれば良いかを聞くのも、あのトリスタンだもの」

 この乙女ゲームをプレイしていれば、当たり前のような知識をなんでここで聞くの?

 黒うさぎのトリスタンは、首に赤リボンを結んだとても可愛らしい外見を裏切るかのように、ギャップのある関西弁を喋るおじさんが中身に入っている。

 何を言いたいのかわからずに、質問に慎重に答えた私の言葉を聞いて、意味ありげに目を細めて微笑んだクロエは頷いた。

「……実は、昨夜私が乙女ゲームをクリアした時に、トリスタンが言ったの。せっかくこうしてクリアしたんだから、ひとつだけ願いを叶えてくれるって」

「え。そんな設定……あったんだ?」

 なんだか、この流れは嫌な予感がしかしない。

 クロエは前世から可愛くて甘え上手で、とてもちゃっかりしていて。