「おーい。ギャビン? おかしいな……居ないのか?」

 ギャビンを探して彼の部屋の中をうろうろしている様子のジョルジュの能天気な声が聞こえて、私はもう涙が出そうになった。

 なんなの。ジョルジュ! 呼び掛けても応えないってことは、もう良いでしょう。

 もう良いから、早くどこかに行ってよー!!

 事情のある私とは違いジョルジュから隠れる必要なんて何もないはずの部屋の主ギャビンは、私のお願いしたことを忠実に守り、息を殺して動かなかった。

 騎士ジョルジュは荒っぽい性格からわかる通り、大きな足音がわかりやすいから居ないと思っていたのに、部屋の中に居てビックリしてバッタリなんてことはなさそう。

 箱に閉じ込められている私は、早く時間よ過ぎ去れーと強く念じるほかない。

「え……ねえ。レイラ。もしかして、ジョルジュもクロエ嬢から、レイラへと心変わりしたのかな?」

 小声でギャビンが言い出した推理は、完全に的を射ていた。