なぜ、姿も声も変わってしまったクロエが、私のことを前世の幼馴染だと気がつき協力することになったかというと、乙女ゲームの舞台である魔法学園で、こっそり日本語で書いていた日記を偶然彼女に見られてしまったことから始まった。

 乙女ゲームが基になっているこの世界には、三人の主要攻略者が居る。

 絶対に外せない正統派な王子様に、ワイルド系の騎士、それにクーデレで甘え上手な年下魔法使いだ。

 現代の一般的な日本女性ならば、この三人の中の一人が性癖に当てはまると言う人も多いと思う。もし異論がある方は私ではなく、乙女ゲーム開発チームの連絡先にまでお願いします。

 けど、転生ヒロインクロエは、共に乙女ゲームを楽しんだ記憶のある私に、こんなことを言い出した。

「ねえ。レイラ……私。隠しヒーローの騎士団長オーギュストと結ばれたいんだけど……せっかく推しの居る世界に生まれ変わったのに、彼を素通りして違うヒーローと結ばれるなんて嫌よ。お願い! 協力してくれない?」

 騎士団長オーギュスト・レナトガンは、ワイルド系騎士ジョルジュの上司だ。