「村に帰ってどうしろっていうの? 生贄としての役目を果たせなかった私を、村の人達がどうするかわからないわ!」


ハナの言葉に光鬼は一瞬絶句した。
元々村で暮らしていたハナは村に帰ったほうがいい。

それは理解しているが、村人に攻撃されないとも限らない。
それは光鬼にとっても懸念すべき点だった。


「大丈夫。俺がそうはさせない」

「どうするつもり?」


ハナが少し潤んだ目でまっすぐに見つめてくる。
その目で見つめられると、どうしても離し難くなってきてしまう。

光鬼は意識してハナの目を見ないように視線をそらした。


「もしハナを攻撃するようなことがあれば、俺が村に降りていく」

「え……」