期待の将星と毎日てんてこ舞いな洗濯メイドの、やんごとなき関係。

 確かに彼が変な動きをするようになってから、まだ日は経っていない。

 いつもは、幼い頃から知っている彼とそういう事を言い合うのが気恥ずかしくて、言葉にはあまり出さないままだった。

「……ありがとうございます」

「言いたいこと言わないと、絶対にすごく後悔するわよ……残った人生、ずーっと悔やみ続けることになるんだから。貴女には、私のようになって欲しくないわ」

 ベルガモさんの微笑みは、強い人の笑みだった。けれど、私にそんな言葉を言えるまでに彼女はどれだけの涙を流したのだろう。

「はい!」

 そして、私は手に持っていたガイの軍服を畳み直して、ベルガモさんにお辞儀をしてから部屋を飛び出した。

 城の廊下をパタパタと音をさせて走り、ガイの執務室へと向かった。そんな私を見て廊下を進んでいた他の人たちは驚いて振り返っている。

 城の廊下では、走らない。これは、規則でもなんでもなくて常識である。

 後で誰かに報告されて、怒られるかもしれない。けど、それでも良かった。今はガイに、すぐにでも会いたかった。

 彼の心が離れてしまったとしても、私はガイが好きなんだとそう伝えたかった。