今感じているのは、激しい焦燥。彼の命を救えるのなら、今自分の持つものすべてを投げ出してでも、救いたいと心が叫んでいる。

「……イーサン。ありがとう。今まで気がつかなかったけど、貴方って……なかなか良い男だったのね」

 私の言葉を聞いて、イーサンは眉を寄せて一瞬変な顔をしたけど、苦笑して言った。

「ああ。ローレンは自分では気がついてなかったかもしれないが、あの王子以外、もう視界に入れてなかった……ああ。俺は良い男だ。だから、そういう俺の隣に居る女は常に幸せな女でなければならない。他の男を想ってベッドで泣いている女なんて、こっちからお断りだね」

「……ねえ。もし上手くいかなかったら、クインと一緒に貴方の商会で雇ってよ。イーサン」

「は? さっき俺は、二度と顔を見せるなと言ったはずだ。ローレン」

 面白くない顔をしてイーサンはそう言ったけど、私は笑って言った。

「イーサンは嘘は上手いけど、本当はさみしがり屋なんでしょう。私と弟のクインが傍に居れば、騒がしくなるけど、さみしくなくなるわ」