ギャレット様は、既にベルセフォネ嬢を受け入れたんだと思っていた。それを聞いて私はぽかんとなったんだけど、イーサンはそれを見て鼻で笑った。

「あの王妃も、ローレンも。王子を見くびり過ぎじゃないか。おそらくだが、王妃がべルセフォネを婚約者にするために君をあてがったことも、今は全て理解している。だが、それを明かし王妃を責めれば、君がまた嫌な思いをする。だから、何も言わずに黙っているんじゃないか」

「……そんな……嘘でしょう」

「今まで何も言わず良い子で王太子をやって来た男の、初めての反抗だ。だというのに、それが原因で殺されてしまうとは、俺も流石に夢見が悪くなりそうでね」

「止めてよ。何言ってるの。縁起でもない」

 私は何を言い出したのかと、イーサンを睨み付けた。口の上手い彼でも、言って良いことと悪いことがある。