とは言え、数年前に母が亡くなってから急に大人びてしまったクインは、姉の私に対し礼儀正しく接するようになり、全くそんなことをしなくなってしまったけど。

「弟が? 待ってくれ……姉が居る弟は、そういう環境が当たり前なのか?」

 大きな衝撃を受けた表情になったギャレット様は、そこそこ大きくなったクインが今も当たり前のように触っていると誤解しているのかも知れない。

「あの……それって、数年前のことですよ。流石にあの子も、今はしないですよ」

 私は勘違いしているのだろうと微笑み、ギャレット様は納得したように頷いた。

「そうか! そうだよな。いや、だからと言って良い訳でもないんだが……複雑だ」

 ギャレット様は両手で頭を抱えて、考え込んでいるようだ。彼には腹違いの弟が二人居るきりだし、姉妹が居るという感覚がわかりづらいのかもしれない。

「ギャレット様も結婚をすれば、遠慮なく触れると思いますよ」

 ええ。それは、私ではない違う女性の胸ですけど。ペルセフォネ嬢は痩身の女性だけど、大きいから良いわけでなく、そういう小さな胸もお好きな人が居るらしいし。