婚約者って、未来に結婚をすることを約束している二人だということで……けど、私は期間限定なのだけど、ギャレット様本人にそれを言う訳にもいかないし……。

 ただの婚約者の身で宮も用意して貰っているから、仮病なんて使う訳にはいかない。もうっ……仕方ないから、この前の池にでも飛び込もうかしら……。

 ギャレット様を避ける方法をどうにかして考えてしまう程度には、私は追い詰められていた。

 そもそもの依頼主の王妃様に指示を仰いではいるけど、何かご多忙なのか未だ返事がない。

 だから、逆らえない立場にある私は彼女から以前指示された通りのことをこなすしかない。

 自分が作った訳でもない借金が憎い。

 以前から大きく状況は変わっているものの、彼には同じように接するしかない。ええ。そうよ。私。好意を隠しもしないギャレット様を前に、一体どうしたら正解なの?

 好き合っている俺たちに何の文句も許さないと言いたげな、この甘い空気! 居たたまれない。逃げ出したい。

「あのっ、ギャレット様だってご多忙の身ですし、良ければ私の方から会いに行きます。ですから……」