それって、何の謝罪です? イーサンに嫉妬したこと? それとも、何も言わずに私にキスをしたこと?

「あのっ……これは、好きな人とするべきことなのでは」

「……俺も君が好きなので、何の問題もないだろう」

 ギャレット様からの好意は隠しきれないものではあった。けれど、こんな風に好きだと言ってくれたのは、これが初めてだった。

「えっ……? そうです。そうですね。私もギャレット様が好きだから……その通りです」

 両想いの婚約者同士のキスを阻める者は?

 ……居ないと思う。親だってキスくらいならと思うだろし。ミスヴェア王国で、男女のキスは禁止する法律はないもの。

「どうしたら、笑ってくれるんだ? ローレンの気持ちは、俺にはわからない。何か喜ばせようとしても、君は困った顔をするばかりだ」

「よっ……喜んでいますよっ……だって、私、ギャレット様のことが好きなのでっ……んっ」

 口は災いの元とは、良く言ったもの。

 けれど、私はその後長い間、口を塞がれることになったので、良かったのかもしれない。

 これ以上、余計なことを何も言わずに済んで。