「あれは……ベッドフォードか。先ほどローレンも、彼と話していたようだが」

 王族としての彼の立場上、国外からの賓客と踊らざるを得ないギャレット様は私の元にまで戻って来た。そして、面白くなさそうな顔をして隣に居る私の顔を見つめた。

 私は曖昧に笑い、自然に見えるように一歩後ろに下がった。ギャレット様は最近イーサンと話す私を見ては、苛立っているようだ。

 やたらと傍に居たがるし、今まで素通りしていた何の罪もない挨拶に来ただけの紳士たちにも、やたらと威嚇しているような気がする。

 そう。現在のギャレット様は、私への執着心をとても感じるのだ。

 なんだか、この前までちょっとしたことでも恥ずかしそうにして照れていたのに、嫉妬を感じているようなギャレット様には私への好意を隠す気が全く見えない。

 え。これって、もしかして……大きな勘違いでなければ、ギャレット様に対する私の態度、すべてがまるで裏目に出ているような気もするけど……私は依頼主の王妃様からの指示通りにしていて、このまま突き進むしかない。