彼女にとっては、もうなんでも良いのだ。私がここで飛び降りて死んでも、外国で不幸になっても。不幸になることには、違いないから。

 人の不幸を願い祈っても、自分が不幸になってしまうだけなのに。

 もう、そんなこともどうでも良いんだ。

 私は窓を開き、新鮮な空気を吸った。そして、驚いた。その先に居る人を見て。

「っ……ギャレット様!」

「ローレン!? ローレン。俺を信じて飛び降りろ! 必ず受け止める! 早く!!」

 なんでギャレット様がと一瞬だけ思ったけど、彼を信じない理由が何もない私は、すぐに窓枠をよじのぼり飛び降りた。

 ふわっと体が宙に浮いたと思ったのは一瞬だけで、すぐに彼の逞しい腕の中に居た。私は感動で涙が出てきて、反射的に受け止めてくれた彼へと抱きついた。

「ギャレット! 会いたかったです……私、もう二度と会えないと思って……」

「ああ……ローレン。こんなに震えて、可哀想に……もう、大丈夫だ。王妃は……いいや、前王妃は、もう終わりだ。父上は俺の婚約者を誘拐した罪で、騎士団にも捕縛するように指示を出した」

「あっ……クイン……弟のクインは?」