「ここで、私が泣いたら二人とも解放してくれます? しないですよね? だから、無駄なことはしたくないです。クインは……何処ですか? 何の目的だか知りませんが、あの子だけは解放してください」

「なんでそんなに堂々としてるのよ。面白くない。おばさんは売られるんだって。おばさんはギャレットのお気に入りで、あいつが一番に傷つく方法がそれなんだって」

 ペルセフォネはギャレット様に婚約者として認められなかったせいか、やたらと彼を嫌うようになってしまっている。好きだからこそ、拒否されたら必要以上に嫌ってしまうのかもしれない。

 愛と憎しみは、表裏一体だと言うから。

「……そうですか。それでは、クインは解放してください。元々はギャレット様のことをお好きだったのに、ずいぶんな言いようですね……最初から、彼を貶めるつもりだったの?」

「好きだった訳ないわ。けど、私がおばさんの邪魔をするのは、最初から決まっていたから……ギャレットはおばさんが外国に売られたと知られたら、泣くでしょうね。慰めてあげようかしら」

 くすくすと笑ったペルセフォネを、私は心底軽蔑した目で見たつもり。