「君もさっき言っていたじゃないか。まるで……向こうの思惑とは逆にローレンを好きになるように、なっていたと……もし、これが……思惑通りなら? ローレンは今やギャレット殿下の、唯一にして最大の弱点になった。これまで、彼は大事なものは持たなかった。何故かというと、早くに母親は亡くなり、興味を持ったのは剣術だけだ。彼を殺せる者は……世界でも、そうはいまい」

「嘘でしょう。それは……確かにそうだわ。ギャレット様には、これまで、弱点らしい弱点はなかった。けれど……どうして、そんな面倒なことを?」

「……俺の予想だが、確実にギャレット殿下を始末するためじゃないか。今ならば、完全に油断している。王妃は、なぜあれだけ落ち着いていられるか? 思い通りになっているからだ。そうだ。泳がされることも予想していた。だが、おそらく、犯人の唯一の誤算が……この人だ」

「お父様が……?」

「ああ。居なくなった息子を探しに、薬を打たれながらも、必死でここまで来たんだ」

「そんな……お父様……ごめんなさい。本当にごめんなさい」

 ずっと、誤解をしてた。