「午前中から始めて、午後三時には帰る学生のような健全過ぎるデートだぞ。ローレンの婚約者は、流石に心配性が過ぎないか? ……そういえば、あいつは君の行く先々に先回りして居たな……会いたいのに、ローレンは気まぐれにしか近寄らないので、焦れていたんだろうな」

 私たちが以前共犯者だった頃の話をしたので、イーサンに聞いてみたいと思っていたことを思い出した私はこれは良い機会だろうと口にした。

「ねえ。イーサン……私って、ギャレット様を情熱的にお慕いしているから、家に多少の難があろうが、なんとか彼の婚約者になれたという触れ込みだったでしょう?」

「いや、本人が触れ込みって言うなよ。まあ、そうだったな。傾いていたメートランド侯爵令嬢をどうにか婚約者にするために、王妃は良くわからないことを理由にしたよな」

「そして、私って……あの、バイデン家のペルセフォネ様に、必要以上に近寄るなと言われていた……んだけど」

 察しの良いイーサンは苦笑しながら、隣を歩く私のことを見た。