どうしても欲しいと望んでいた報酬を約束されていたとしても、彼という人を裏切ったことに変わりはない。それは、私自身が一番良くわかっていた。

 誰かに何故そんなことをしたんだと責められたとしても、何も言えないだろう。

「ローレンが俺のことを好きだというのは、皆が知っていた。やたらと対応が冷たいのも、どうせ恥ずかしがっているだけなんだろうと予想していたようだ。だから、死にそうな青白い顔をして男の腕を持ち俺に別れを告げた時も……その場に居た全員が、これは何か事情があるんだろうと察していたぞ」

 ギャレット様は何を当たり前のことを言っているんだと言いたげだけど、私には信じがたいことだった。

「まっ……ままま! 待ってください! 私が……ギャレット様のことを好きだと、皆が知っていたって……本当なんですか!?」

 嘘でしょう。私たちのやりとりが周囲から微笑ましいと思われているのは、なんとなく察していたけれど、そんなにまで私の気持ちがダダ漏れだったなんて。

 ギャレット様は不思議そうな表情で頷いて、微笑んだ。