何故、王妃の姪に当たり王族との婚姻も結べる彼女がすぐに婚約者として認められないかと言うと、このミスヴェア王国では、男女共に十六の年齢にならないと婚約は出来ないという決まりがあるからだ。

 まだ無事に成長するかもわからない幼い年齢に婚約を交わすことは、あまり良くないという医療技術の発達していなかった頃の古い考えが残っていて、貴族たちの婚約は社交界デビュー後に解禁される。

 とは言え、それは形だけで親同士の口約束などで、内々には決まっているようなものだけど。

 私付きのメイドや護衛騎士には、目で合図をして下がってもらった。

 ペルセフォネ嬢は、まだ十五歳。まだ年若く王妃の姪なので、彼女のこうした無礼や多少の我が儘は城の中で許されている。

 彼らは年の近い同性の友人と話したいのだろうと、微笑ましくそう思っているはずだ。それは大きな勘違いで、私たち二人の関係は主人と使用人に近いのだけど。

「ちょっと……貧乏人のおばさん。ギャレット様にくっつき過ぎではない? 自分の立場を、本当にわかっているの?」