『こんな田舎っ、私だって来たくなかった……!』
『お父さんのバカーーーっ!!…ばか…、なんで…、なんでなんだってば…っ』
叫んで、嘆いて、悲しそうで。
心の奥にある苦しみをせめて吐き出したような。
この町の人間じゃないんだろうな、とは、すぐに分かった。
そんな足音と声が坂の上から聞こえたから、もしかしたら下ってくるんじゃないかって。
『っ~、うるさいバカっ!!!』
ずっと、泣いていた。
あのときだけじゃない、今だってそうだ。
その女の子は、ずっと泣いている。
表面には決して出さないけれど、なぜか俺の目には泣いているように見える。
『なんでバカっつったの?』
『え…?』
『初めて会ったとき。俺の自転車を倒しながらバカって』
図書室で聞きたかったことは、本当はそんなことじゃなかった。
そこを知りたかったんじゃなくて。
なんであのとき、泣いてたの───?
俺はこれを本当は聞きたかった。



