「うしろ、乗る?」
「……雪で滑るよ」
「俺も言ってから思った」
交通違反とは言わなくなったあたり、この町の”当たり前“というものにだんだん慣れてきたのか。
いや、慣れというよりはいちいち驚いてても仕方ない、的な感じか彗の場合。
部活が終わってミーティングが終わって、すばやく学ランに着替えて、いつもと違う気持ちで自転車置き場に向かった17時すぎ。
グラウンドを出たところで待っているかと思いきや、すでに自転車置き場付近にいた転校生。
「…自販機こっちじゃないけど」
「あー、…そこの自販機ホットはコーヒーしかねえの。コンビニのがよくね?」
「……うちから徒歩20分のとこ」
「ははっ、この近辺の唯一だからな」
今日の俺は機嫌がいい。
機嫌がいいから、本当はコーンスープもある自販機をスルーしてまで選んだコンビニ。
いまだに高ぶる気持ちを抑えられず、コンビニで飲み物だけじゃなくお菓子も買ってやるかと企む帰り道。



