そこから中学3年の1年間は野球から離れた。
部活もやめて、考えることすら一切したくなくて。
ピッチャーでいることも、名門校へ行くことも、甲子園を目指すことも。
ぜんぶぜんぶ許されないって、1度は諦めた。
野球を嫌いになった、大嫌いになった。
大嫌いにならなくちゃ駄目だと思った。
───でも、捨てることだけはどうしてもできなかったんだ。
「この県を代表する若戸学園だけじゃなく、この町にはまだ強い高校がたくさんある。けど……全力でやってみたいんだ俺」
「…甲子園を目指す学校ってさ……、」
ようやく口を割った、ひとりの部員。
ショートを守る2年、守備力はこの部イチと言われ、教え方も上手いため後輩から慕われるひとり。
「甲子園を目指す学校って、野球だけに徹底してるだろ。なかにはリトルリーグ上がりの推薦も紛れてるし…、
なんつーのかな、気持ちのでかさが俺たちとは違うと思うんだよ」
気持ちというより、覚悟だろう。
ひとつの目標に一致団結して、どんな境遇に立たされようと追いかけることができるかという、覚悟の違い。



