今日もまた、澄んだ青だ。

カーテンを開けて感じた気持ちに、自然と頬が緩む。



「彗ちゃんそろそろ起きなさーい?今日は大切なお見送りがあるんじゃないのーー?」


「うん、起きてるよー」



台所から階段へと首を伸ばしながら言っているだろう伯母に、しれっと返す。

ドアを開けた瞬間に届いてくる温かな香り、ほんのり昇った湯気。


平々凡々な朝だ。

私が欲しかった、朝だ。



「相手は初出場の学校らしいな」


「伯父さん、頬っぺにご飯つぶ」


「ん?…ああ、すまん」


「…ふふ。きっといい試合すると思うよ」



野球が変えてくれたのか、誰かが変えてくれたのか。

その真相は謎に包まれていたが、穏やかな親戚との生活だった。


増えた会話。
お互いに目を合わせて話す毎日。



「ホテルは取れたの?どこも混んでるでしょう」


「奇跡的に空きが出たって、少し前に連絡があって。駅からはちょっと歩くけど、いい感じのビジネスホテルだよ」


「そう。安心だわ」