「ホームラン、打ったぞ」
「……うん」
「甲子園、行けるぞ」
すごいよ。
ほんとうに、すごい。
有言実行、成し遂げちゃった。
まるで世界に私たちしか居ないみたいに、それ以外の音なんか聞こえなくなる。
「…わらった?」
「…え…?」
「笑った?」
笑ったよ、笑えたよ。
すごくすごく嬉しくて仕方なかったから。
マウンドで喜ぶ友利を見ていると、自然と綻んだの。
ここでも「…うん」と、小さくうなずけば、また腕の力は強まった。
「じゃあ、泣いた?」
「………、」
「…彗」
悲しいことなんかなかったのに、気づけば頬に流れていた。
あの涙は果たして嬉し涙なのか、
悲し涙だったのか。
そこを考えることだけは、しないように止めた。
「…泣いた、よ」
「声、出して泣いた?」
「…………」
「そんくらい、おもいっきり泣いた?」
泣け、泣いていい、泣くんだよ───そう命令されているように、私にはどうしてか聞こえた。



