変だなと思ったのは、友利を囲んだ声たちが「友利?」と疑問符を打っていたこと。
まるで反応が一切ない何かに対してつつくみたく。
そんなMVPが自らの意思で進めば、取り囲む人間たちは自然と道を開けてゆく。
「───……っ、」
どんな言葉をかけてあげよう。
まずは“おめでとう”だろうか、“お疲れさま”だろうか、それとも“おかえり”だろうか。
なにも言えなかったら最終的に笑顔をひとつ、見せてみよう。
そんなことを思っていた私は、いらない悩みだったと後悔する。
気づけば腕のなか。
周りの目など気にもせず、彼はただ、私を抱きしめてきた。
「っ、ともっ、…り、」
「汗臭いとかナシな。制汗剤ぶちまけてきた俺には効かねーわ」
なにを言っているのと、まったく気にもしていなかった心配に心が和らぐ。
いつもどおりなようで、そうじゃない。
また格好良くなってしまった友利を前に、私が躊躇った。



